2020.6.12 金曜日

【CBDについて一緒に考えよう】第4回 「CBDの歴史」その2

1960年代頃から、多くの化学者はTHCに着目し、合成THCによるマリノールやナビロンといった製剤が開発されました。しかし、カンナビノイド製剤の実用化は、いま一つ盛り上がりに欠けていました。その大きな原因は各国の法律です。20世紀初頭に制定された万国アヘン条約で、大麻が国際的に禁止されて以来、各国で大麻は規制されてきました。そのため、大麻から抽出したカンナビノイドの利用も制限され、結果的に合成カンナビノイドを使用するしか方法がありませんでした。

しかし、大麻の医療利用に一つの転機が訪れます。1980年代、アメリカで発生したHIVが世界中をパニックに陥れます。そして、その中心地でもあったサンフランシスコで、大麻が有用であるということが、市民の中で知られていくのです。しかし、食欲を増進し痛みを緩和してくれる大麻は、アメリカでも法律で規制されています。そこで市民たちは、合法化に向けて大麻合法化のための市民運動をはじめます。この動き以来、大麻の有効性についての研究も加速していきます。

ところで、CBDの研究が進んだきっかけのひとつに、CBDの受容体の発見があります。受容体とは、CBDを吸収して効果を発揮する場所であり、私たちの体の様々な箇所に存在しています。1988年。セントルイス大学のアンリ・ハウレットらによって、THCの受容体であるCB1が脳内に存在することが、明らかになります。さらに、1998年には、ケンブリッジ大学のマンローによって、CBDの受容体であるCB2が発見されます。そのことで、CBDの効果も徐々に解明されていきました。

CB2は、白血球などの体内の免疫系を構成する様々な部位に多く存在することも分かってきました。つまり、CBDは免疫力向上に関係しているといえます。

このように、1980年代後半から2000年代には、CBDの有効性が大きく解明されていったのです。

(その3に続く)

長吉秀夫 作家
1961年、東京都生まれ。舞台制作者として、内外の民俗音楽・舞踊やロックと出会い、全国津々浦々をツアーする傍ら、ジャマイカやインド、ニューヨーク、ツバルなどを訪れ、大麻や精神世界、ストリート・カルチャーなどを中心にした執筆を行い、現在に至る。著書に『大麻入門』(幻冬舎)、『医療大麻入門』(キラジェンヌ)、『健康大麻という考え方』(ヒカルランド)『大麻』(コスミック出版)などがある。