2021.9.14 火曜日

ペットにCBDを使う時に注意すべきこと【茂木千恵Vet.のコラム】

CBDをペットに使用した場合、動物には様々な変化が起こります。
疾患への効果については詳細な研究は行われていないため、人の医学分野での研究成果から推測するにとどまりますが、おそらくペットにおいても同様の影響は得られると考えられています。
では期待する変化を安全に得られるために気をつけたいことについて説明したいと思います。

  1. ペットにCBDを使ったときに起こる副作用
  2. 人用CBDを使ってはいけない
  3. ペット用CBDを選ぶときに気をつけたいこと

 

1.ペットにCBDを使ったときに起こる副作用

たとえばCBDは摂取後数時間の間に痛みの知覚を変化させることが分かっていますが、変形性関節炎と診断された犬たちにCBDを摂取させた実験では、獣医師が検査したところ疼痛の軽減の兆候が見られ、活動性が向上していました。
他にも分離不安、雷・花火などの大きな音がきっかけで不安を示す犬において、CBD製品を与えることで、行動に変化が見られたということです。また特筆すべき副作用は観察されなかったとのことです。

犬におけるCBD使用の副作用に関する依存的な科学的なデータはほとんどなく、傾眠、鎮静、肝臓逸脱酵素(ALP)上昇など少数の報告があります。
近年のCBDに関する使用事故として報告されたものはCBD製品に混入しているTHC(テトラヒドロカンナビノール)の作用によるものと考えられています。
THCは人間に副作用をもたらすため、同様の副作用が犬にも起きる可能性があります。
運動や呼吸を司る脳の領域にTHCが強く作用すると動けなくなってしまったり、発作のような痙攣が起きたり、さらに多量に摂取させた場合は致命的な症状が起こる場合もあります。CBD製品を選ぶときにはこういったTHCフリー(含まれない)と明記された製品を選ぶことが大切です。
さらに、副作用を抑えるためにも、適切な用量を守る必要があります。
犬で考えられる主な副作用は鼻が渇く唾液減少)、血圧低下、眠気です。

 

鼻が渇く

CBDは唾液分泌を減少させることが分かっています。
唾液が少なくなってきたら、鼻が渇きます。
摂取させて1から2時間後に鼻が渇いていたら副作用の可能性があります。
4から6時間後には回復しますので、次の機会に使用する量を調節してください。

血圧低下

大量のCBDは一時的に血圧を低下させることが知られています。
そのため、ペットが動かなくなったり、呼んだ時や歩かせたときにふらつくことがあるかもしれません。

眠気

CBDはGABA神経系を介して鎮静をもたらすと考えられています。
高用量のCBDを摂取させると、眠りが深くなることがあります。

 

2.人用CBDを使ってはいけない

人用CBDは風味を良くするために添加物が含まれている場合があります。
ペットにとって有害なハーブや揮発性化合物などが含まれていると摂取させたことによってその添加物による中毒が起こる懸念があります。

またCBDはそれぞれの製品メーカーによって一見同じようなオイルやグミであっても含有されるCBD量には大きな開きがあります。
人用は人が一口で十分な量を摂取できるようにCBD濃度が高い物が一般的となっています。

ペット向けのCBD製品は、人間向けのものと異なりCBDの含有量が低くなっています。
体格が小さいペットには比較的少量でも十分な場合が多いためです。
人用を使うことで意図せずに大量のCBDをペットに与えてしまう可能性もあるので注意しましょう。

 

3.ペット用CBDを選ぶときに気をつけたいこと

CBDはヘンプという植物から抽出される天然成分です。
植物は栽培されている土壌のミネラルを含み成長していきます。土壌が重金属や農薬に汚染されている場合、CBD製品にも混入してしまう危険があります。そのためオーガニック製品を選ぶようにしてください。また、成分分析がなされた証明書等を事前に確認し、有害物質などが含まれていない品質レベルが高いCBD製品を選びましょう。

CBDは使用する濃度によってペットにさまざまな変化を起こします。
一般的に低用量では精神的に、高用量では全身性の炎症や免疫反応に
安価な製品では表示されている濃度に一致しない内容量となっているものも報告されています。
製品内のCBD量を示す証明書データを確認し、どれぐらいCBD量が含まれているかを確認しましょう。
またオイルタイプの製品は濃度の確認が必要です。濃度が分かれば1滴当たりのCBD量が表示されているか、あるいはオイルを計量できる目盛り付きのアプリケーターが付属していれば、ほぼ正確に量を測ることができます。
ペットそれぞれの体質に合った摂取量を決めることが可能な製品を選びましょう。