2021.9.16 木曜日

CBD製品を摂取させる1日当たりの目安【茂木千恵Vet.のコラム】

動物にCBDを与える際、どのくらいの量を、いつ上げたらいいのかわかりにくいというお声をよく聞きます。CBDは動物の年齢、体質、持病、使う目的によって摂取させる量の目安が変わります。
このコラムでは
1.CBDが関わるエンドカンナビノイドシステムのトーンの違い
2.量を多く摂取させても変化が大きくなるわけではないこと
3.変化させたい状態に合わせることの大切さ
4.与える量を計算する
についてそれぞれ解説していきたいと思います。

1.CBDが関わるエンドカンナビノイドシステムのトーンの違い

動物が生まれながらに持っている体内環境を健康に保つ「恒常性」維持という能力。
この恒常性維持にエンドカンナビノイドシステム(ECS)が深く関わっています。
CBDは体内に取り込まれることで神経や免疫担当細胞に分布してECSの調子(トーン)を変えると考えられています。
普段、動物が環境から刺激を受けたり、感染や心的ストレスを受けたりした時にECSが働いて元に戻すための神経系や免疫系が活動し、元に戻ったところでその活動が適切に終息します。ECSは恒常性維持活動のアクセルとブレーキの両方を調節しています。このECSのトーンは動物によって大きく異なっています。例えば年齢、体重(正確には体表面積)、疾患の有無、体質などがECSのトーンに影響を与えています。
そのため、それぞれの動物のECSを動かすのに必要なCBDの量は一概に決められません。

2.量を多く摂取させても変化が大きくなるわけではないこと

CBDは多量に摂取しても中毒になることが無いとされていますが、量を多くすればするほど変化が顕著になるというものでもありません
釣鐘型反応曲線(Bell curve)という反応発現は少量でも多量でもなくちょうど良いCBDの量があるという研究結果があり、さらに近年ではヘンプオイルに含まれるその他の成分によるアントラージュ(側近、相乗)効果によってフルスペクトラムCBDでは効果が高く維持されると考えられるようになってきています。

一方で大量にとり続けることによって耐性がついて当初見られたような反応が起こらなくなることも報告されています。そのため、不必要に多くの量を摂取させないために、スタート時は少量からというのが合理的です。

獣医療において先進のカナダでは動物への使用には以下のような手順が推奨されています。
1日あたり1mg/kgで開始し、7日後、10日後、または14日後に動物の変化を以前と比較し量が合っているかどうかを評価します。
希望する変化が起こらない場合は用量を増加させます(0.25mg/kgで増加)。
なお不安には低用量でも変化が起こることがわかっています。

CBDは飲ませてから60分後くらいから4,5時間後まで体内で作用する濃度を保てると考えられています。
そのため、1日に目安とする量を朝1回で摂取させた場合と、朝、昼、晩の3回に分ける場合では反応も違ってきます。
実際に使い比べてみて飼い主様と動物のライフスタイルに合わせて使うことができるでしょう。

3.変化させたい状態にフォーカスすることの大切さ

大切なのは、期待する変化が起こるCBDの最小量とその使い方を見つけることでしょう。
CBDの効果はすぐに現れるとは限らず、量を増やしつつ使い続けないとはっきりとした変化が見られない場合もあります。
動物は言葉で自分のことを伝えられませんので、具体的にどのようであるかは飼い主様の観察によっています。目安となるCBD量については先述にありますが、それぞれの動物にとってその時に合ったCBDの量は、実際に使ってみて把握する必要があるでしょう。
また何となく様子が悪いので使いたいという場合でも、使う前の状態をちゃんと把握しておくことで、使った後にどう変化したか具体的に検討することができます。
たとえば左後肢を引きずっているのが気になる場合、常に引きずっているのかどうかが把握できていれば、使い始めてその動作が見られなくなったのか依然として見られているのかを確認することで使った量が合っているかどうか検討できるでしょう。

 

4.与える量を計算する

では次に実際にどのくらいCBDを与えれば良いのでしょうか。
まず動物の体重を正確に測り、体重1㎏当たり1㎎が1日量の目安として計算します。
次に製品を与える際に、それぞれの製品の1滴、1粒、1個に何㎎のCBDが含まれているかをパッケージ等で確認します。

例えば1滴に0.2㎎のCBDが含まれるTreatibles Drop 250mgオイルでは、体重が4kgの動物に4mgのCBDを摂取させるには、1日当たり20滴が必要ということになります。
1粒に4㎎のCBDが含まれるTreatibles Hard Chew Largeでは、体重が10kgの動物に10㎎のCBDを摂取させるには、1日当たり2個半が必要ということになるわけです。
あくまで始める際の目安の量が1㎎/kgですから、高齢や罹患中、服薬中など肝臓の代謝が健常と異なる動物へは0.5mg/kgの少ない量から始めることをおすすめします