2022.2.14 月曜日

CBDは犬猫のアレルギーに効果的か?【茂木千恵Vet.のコラム】

アレルギーの原因は何か?

ペットのアレルギーが疑われる場合は、ほぼ必ず痒みを伴います。

しかし、痒みの原因はアレルギーだけではなく、ノミやダニなどの寄生虫、微生物(細菌や真菌)なども痒みの原因となりますが、アレルギー性皮膚炎の場合、皮膚のコンディションの悪化により、これらの病原体が増えやすい状態になっていますので、まずは基本的な検査により、これら(寄生虫や微生物)の有無を確認し、もしいた場合はそれらを治療したうえで、それでも痒みが続く場合は、いよいよアレルギーの可能性を疑っていきます。

 

アレルギーが現れる場所は決まっている

アレルギーが現れる場所は、腋窩(わきの下)、肘の内側、内また、四肢端(手や足の先)、肛門周囲、耳、目や口の周囲、背中です。

これらの部位に痒みを伴う場合、アレルギーの可能性が高くなります。

特に目・口の周囲と背中に関しては、多くが食物アレルギーによって起こり、特徴的なサインとして、

①1歳未満から痒みがある

②季節を問わず、一年中痒い

③1日3回以上の排便

があげられ、1つでも該当する場合、食物アレルギーの疑いをもつ必要があります。

 

あなたのペットのアレルギー皮膚炎はどのタイプか

アレルギー性皮膚炎は、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの混合型の3パターンがあります。

これらを特定していくためにアレルギー検査を数種行うことで、原因を探っていきます。

検査には3種類の方法があります。まず、

  1. 免疫反応検査・・・ペットにアレルギーが疑われる場合、まずは血液検査で免疫反応が暴走していないかを確認します。免疫反応が暴走してなければ、行動面での問題ということになります。ここではIgE(血液中に存在する免疫グロブリンといわれる免疫に関わるタンパク質の一種で、からだの中にアレルギーの原因物質(アレルゲン)が侵入してきたときにからだを守る働きをもつ)抗体があるかどうかを確認します。
  2. アレルゲン検査・・・次にアレルゲン検査を血液検査で行います。特定のアレルゲンへのリンパ球の反応度合いを調べ、アレルゲンを特定します。
  3. アレルゲン除去食試験・・・アトピーか食餌性アレルギーかを見極めるため、アレルゲンを除去した食餌を与えて痒みが減るかどうかを確認します。

これらの検査を経て、食餌のアレルゲン除去でも痒みが変わらない場合はアトピー性皮膚炎を考えて、免疫暴走を止める投薬治療を開始します。

しかし、食物アレルギーの場合は、IgEとリンパ球の両方に反応する場合もあるので、見逃さないためにも1と2の検査は必要となります。

 

犬アトピーにおいてCBDは免疫抑制剤のアシストをする

CBDは、食物アレルギーではなく、免疫暴走タイプのアトピー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの混合型の場合に免疫抑制剤のアシストの役目をすると考えられています。

逆に言えば食物アレルギーには効きません。

さらにストレス性の症状にCBDは合うので、犬猫の感じる

痒い→投薬→嫌・怖い→ストレス→痒いmax

となってしまっている痒みの強い動物に免疫抑制剤を投与してもよくならない場合、CBDを足すとよくなります。

当研究会に登録していただいている獣医師のアトピー性皮膚炎の症例の中には、

「犬のアトピー性皮膚炎において、サイトポイントと局所外用でコントロールしていたシーズーが、だんだん外用塗布ペースが頻繁になり、ステロイド投薬を追加するか悩んでいたところ、CBDオイルを追加で徐々に痒みが減り、外用薬の塗布ペースが著しく減りました。」という報告もありました。

ただし、プレドニゾロンと一緒にCBDを服用する効果は、CBDの効果を減少させるか、または血流に入るプレドニゾロンの量を増加させる可能性がありますので、慎重におこなう必要があります。

アトピー性皮膚炎にお悩みでCBDとの併用を希望される方は、すでに治療にCBDを取り入れている獣医師の元で、現在の処方薬との併用をご検討ください。

 

CBD投与における注意点

上記のようなアレルギーの原因を見極め、動物の体内の変化を見る必要があり、除去食試験をする場合は、一時的にCBDをやめて様子をみます。

なんとなくアレルギーかも・・・という場合はCBDをやめる必要はありません。

ただし、CBD入りのおやつの原材料にはグリセリンなどが含まれ、それがアレルゲンになっている動物もいますので、食物アレルギーが疑われる動物へのおやつタイプのCBDを食べさせる場合、始めてから2、3日中に起こってくる目と口の周囲と便の様子の変化には注意が必要です。

医事監修:茂木千恵 獣医学博士