2024.3.8 金曜日

【症例報告】マルチーズMちゃん てんかん発作重積による後遺症(失明、四肢麻痺)

マルチーズ 去勢済オス
2017 年 3 月 20 日生まれ
重積発作当時6歳 8 か月齢 2.5kg

飼い主:愛知県犬山市在住
症状:てんかん発作重積による後遺症(失明、四肢麻痺
オンライン初診 2021 年 4 月 12 日診療

症例の経過
・2019 年(2 歳齢の頃)後肢の毛色が茶を帯びてきたことに犬山 AH のトリマーが気づき、
診察を受けたところ、痒みがあるとのことでステロイド投薬を受けた。

・3 歳齢時に皮膚科認定によって CAD と食物アレルギー(AFR)と診断され、小麦主体の
フードに変更。軟便および食欲が正常化した。治療量のステロイドおよびアポキルの併用に
もかかわらず舐める行動は収まらず、行動科を受診。心因性の葛藤および掻痒感の低減を目
的として Treatibles soft chew を使用(0.9~1.8 ㎎/㎏/day)。
使用開始から 2 か月後に舐める行動が減少した。ステロイド終薬を目指して CBD 併用使用し経過観察を継続。

・2023 年 2 月(当時 5 歳 11 か月)にてんかん様発作を起こし、MRI 画像診断等の精密検
査によって脳炎と診断された。その後、抗がん治療と抗てんかん薬を併用したものの、発作
頻度は変わらず、脳炎が悪化していることが分かったため、再生医療と免疫抑制剤も併用した。
2023 年 11 月に発作重積を起こし、4 日間の意識不明となった。失明し、四肢に麻痺が
残って寝たきりになった状態で 3 週間後に退院。
服薬はステロイド、免疫抑制剤アトピカ、
抗てんかん薬はエピレスとイーケプラ、臭化カリウム。
退院直後はほとんど動くことなく寝ていて、排泄時にバタバタと寝たままで四肢を動かしていた。
退院から 2 週間後に食欲廃絶。
その 1 週間前から Treatibles soft chew とジェルペン塗布を飼い主の判断で中断していた。

改めてジェルペンの肛門周囲への塗布を 1 日 2 回で再開するように指示。
ジェルペン再開後 10 日に食欲の回復と、自発的な動きの増加が聞き取れた。排泄も周期的になった。
退院から 1 か月後にはさらに動きが増えて、飼い主からの呼びかけに反応するしぐさが見られるようになった。

Treatibles soft chew は夜に 1/2 個(0.9mg/kg/day)で再開したが食べない日もある。
ジェルペン塗布は 1 日 2 回を継続。

退院から 2 か月後

自力で起き直り、伏せの姿勢を維持できるようになった。
退院から 2 か月半後に自力で前進できるようになった。主治医も想定以上の回復ぶりと驚いている。