2024.5.10 金曜日

【獣医の方からのご相談例】 難治性多発性関節炎の犬への投薬併用

Q.難治性多発性関節炎の犬にCBDの使用を考えております。
現在、シクロスポリン、アラバ、ステロイド、ウルソ、ガスター、FCVリキッド、アンチノール、メニワンを投薬中です。CBDオイルの併用は可能でかしょうか
最初の何週間はこれくらいの投薬量で、どれくらいの期間で減らしていくのか、使い方が知りたいです。

A. 本研究会ではこれまでに多発性関節炎の犬に対してCBDを併用した症例がございます。
ミニチュアダックス去勢雄で当時7歳でしたが、シクロスポリン、のちにアトピカ(アラバ)、ステロイド、ウルソ、ガスター、プロナミドとCBDオイルを併用し、6か月後に寛解に至って、現在はアトピカとプロナミドのみで維持しています。発症前からアトピー性皮膚炎の治療サポートとしてCBDオイルを1.45㎎/kg/dayとして1日2回食事中に摂取してもらっていました。現在も同用量で維持しています。

先生のご検討中の症例の現在の投薬リストにCBDオイルを追加することに関しまして、
薬物相互作用の観点から留意いただきたい点がございます。
用量を適切に漸増していただくことで重篤な影響を起こさずに効果を期待することができると考えます。

これまでにCBDオイルとの相互作用が研究によって報告されている以下の薬剤について概説いたします。

シクロスポリンとの相互作用: シクロスポリンはCYP450酵素によって代謝されるため、CBDの同時投与はシクロスポリンの血中濃度を増加させる可能性があります。CBDもまたCYP450を抑制することが報告されており、その結果、シクロスポリンの副作用が増強されるリスクがあります。

ステロイドとの相互作用: CBDとステロイド類の相互作用についての直接的な研究は少ないものの、両方とも免疫系に作用するため、併用する場合は副作用や免疫抑制の影響を密に監視する必要があります。マラセチア菌の増殖を認める例が散見されます。

CBDオイルを導入される際は、他の薬剤との相互作用の観点から、
3か月に1回の頻度で定期的な血液検査を行い、モニタリングすることを推奨いたします。
また初回から数日間は1㎎/㎏/dayで状態を確認していただき、変化が見られない場合、1.5㎎/kg/dayへと増量してください。

導入後に気になる徴候が見られましたらいつでもまたお問い合わせください。

代表獣医師 茂木千恵